食べ物考2 オムレツ

珍しく高級ホテルで朝食をとる。
ビュッフェスタイルで93Q(約1000円)。
オムレツを作っていたので、早速頼んだ。
ここではコックもオムレツ(omelette、omelet)と
言っていたので違和感はなかった。
帰宅して単語を整理している時に、
和西辞書でオムレツを調べるとtortillaとでてくる。
あれぇ?
tortillaと言えば、
あのトウモロコシの粉で作り鉄板で焼いたものの事である。

早速、下宿先の人に尋ねると
「そりゃオムレツはオムレツで、トルティーヤはトルティーヤよ。
何もおかしい事はないわ。」と言う。
いや、おかしいので尋ねているのだが...。

それで色々調べてみたが全てが分からず、
多分こんな事だろうと妄想している。

昔からスペインにはオムレツがあった。
これをトルティーヤと呼んでいた。
少し深い鍋に油を敷きたっぷりの具を入れた玉子を流し込み、
裏返す事なくじっくり焼き上げる。
スペイン風厚焼き玉子が、スペイン風オムレツ=トルティーヤの事だ。

スペイン人がアメリカ大陸に上陸して見ると、
何やら鉄板で焼いているものがある。
当時の中米では厚いのや薄いのや、
さまざまな種類のトウモロコシ粉を練って焼いていた。
色や形がスペイン風オムレツ=トルティーヤと似ている。
それを見たスペイン人が、
「なんだトルティーヤと似ているものを食べているじゃないか。
 これもトルティーヤと呼ぼう。」と言う事で、
トウモロコシ粉焼きをトルティーヤと呼ぶようになった。

その後、プレーンオムレツが入ってきたが、
当然後からなのでトルティーヤとの混乱を避けるように、
オムレツを使うようになった。
だから、中米ではトルティーヤとオムレツは別物なんである。

では本国スペインではどうか。
元々厚焼き玉子焼きをトルティーヤと、
呼んでいたのでそのまま使われている筈だ。
だから和西辞書でオムレツの事がトルティーヤとでてくる。
では、トウモロコシ粉焼きの事は何と呼ぶのだろうか。

ちょっとスペイン本国へ行ってみたくなった。
(メキシコ風トルティーヤなんて呼んでいるんじゃなかろうか。)