Señora

Señoraは、使い勝手の良い言葉です。
見知らぬ女性に呼び掛ける時に、一言Señoraと言えばいいでしょう。
しかし、これを日本語で表現するのはなかなかの難問です。
若い女性なら「お嬢さん」でまず問題はないでしょう。
少し年齢が上がると「お姉さん」となるのでしょうが、これは言われた方がどう受け止めるか、
という問題があるでしょうね。
また、おばさん位の年齢の方にも「おばさん」と呼びかけるのは注意が必要です。
「奥さま」とかでしょうか。最近高齢で未婚の方も増えていますので微妙です。

中国語でも若い女性には小姐(xiaojie)、年齢が上がると女士が使われます。
小姐は宋の時代と言いますから日本の平安時代にあたるのですが、
遊郭で働く若い女性への呼びかけの言葉でした。
それがあれよあれよという間にお嬢様への呼びかけとなり、
そして今では店やホテル等のサービス業で働く若い女性への呼びかけに使われています。
時代と共に言葉は変化するのものですね。

しかしスペイン語では、こんな悩みもなく一言で済みます。
ではSeñoraという言葉はどのように生まれたのでしょうか。

ここからは個人の全くの想像の産物です。

キリスト教では「聖母」という概念があります。
この女性を敬う想いが、その後の騎士道精神の高揚もあって、
女性を敬う精神が定着したのではないでしょうか。
そして女性を呼びかけるには言葉が必要でSeñoraという言葉が生まれた、
な〜んて思っています。

では何故日本語でSeñoraにあたる言葉がないのでしょうか。
日本では天照(あまてらす)や、神功皇后(じんぐうこうごう)等偉大なる女性がいるのですが、
継続的的な象徴とならず、また男尊女卑的な思考もあって、
女性を呼び掛ける言葉が生まれなかったのではないでしょうか。
また中国に確立した言葉が生まれていれば、日本にその言葉も輸入されたでしょうが、
中国は儒教が重要な教義であり、儒教はある意味性差別的なニュアンスを持っているので、
ここでも言葉が生まれなかったと想像逞しくしています。

このような事を想像しながらスペイン語を学ぶのは楽しいですね。