もったいない

巡礼をしていると想定外に水が足りなくなったり、
うまい具合に食べ物に巡り会えない時が、たまに起きる。
そんな時、フエンテ(噴水)を見つけた時、運良くバルで美味しいものに巡り会えた時の喜びは大きい。

しかし普段の暮らしでは、水も食べ物も何でもあふれるほど有り、困ることはない。
だから、有り難みも少ない。
「こと足れば足にも慣れてなにくれと、足がなかにもなお嘆くかな」とは、松平定信の歌。
食べ物はたっぷりある。
でも、もっともっと美味しいものが食べたいと嘆くという人間とは欲の深いものだ。
限られた物を背負って旅をしていると、数少ないある物の中でなんとか工夫しようとする。
おお、こういう方法があったかと、物の価値の多面性に目覚める。
もしかしたら「もったいない」精神とはこういう事を言うのかもしれない。
ありあまる物を持って「もったいない」と言っているのとは少し違う気がする。

Los Arcos(ロス・アルコス)という何もない小さな村で、巡礼定食をいただく。「白い豆の炊いたん」という地元名物料理。