落語 de español

少し前の話

スペイン語の先生と話している時、
先生が「私、猿蟹合戦の童話を知っているわ。」と言ったので、
「落語は知っているか?」と聞くと、知らないと言う。

かくして、落語をする事になったのである。
勿論、スペイン語で。

まず落語のネタ(話)を設定しなきゃならん。
笑いは文化なので、
その文化的背景を理解していないと笑う事が出来ない。

で、英語落語になっているものがあり、
これは文化的差異が小さく、外個人にも理解しやすいものが多い。
その中から「時蕎麦」をする事にした。

次に日本語からスペイン語への翻訳が必要だ。
へんな言い方だが落語は割と簡単だった。
なにせ会話文中心で、身振り手振りも加えうる事ができる。
むつかしいのは日本文化に関する事項だ。
これは文化的説明が必要で、
この説明が上手く出来ないと相手に理解されない。
例えば花魁(おいらん)が出てくる廓話があるが、
花魁を高級娼婦と言うだけでは何も伝わらない。

「冬の寒い時に、ぼんやり灯る蕎麦屋の提灯のありがたさ。」
と言っても、ここグアテマラではそんな寒さは存在せず、
アツアツのそばもない。
スープはあるが日本の麺類程熱くはない。
このあたりの情感を表そうとすれば、
相当のスペイン語力が必要だろう。

かくして、蕎麦の代わりにドミノピザに変更し
最後のオチだけに焦点を絞って作文して演じてみた。

うむ、これが結構受けたんである。
この落語、結構いけるかも…。

*写真は、グアテマラシティに戻るより、
メキシコの方が近いという田舎の露天市場の風景。
あっ、売り物は豚。