霧の朝


霧の朝の出発となった。
道標がしっかりしているので道に迷うことはない。

昨日はぐっすり眠れた。
昨晩一緒に飯を食ったフランス人ピエールさんは66歳。
30km先の村まで行くと言う。
僕もそのつもりで出発したが、なんだか身体が重い。
途中で出会ったオランダ人ハルマンさん67歳は、
「ゆっくり行こうぜ。俺は次の村までだ。」という。
心の中で、フランスよりオランダが勝利し、
わずか13kmほど歩いてSahagúnという町で宿泊することにした。

テンプル騎士団


ここはテンプル騎士団運営のアルベルゲ(巡礼宿泊所)。
入り口の赤い十字架がそれらしい雰囲気を作ってくれている。
ここは新しく建設されたようで、建物が新しく設備も素晴らしい。

しかし十字軍・テンプル騎士団と言えば鎌倉時代ではなかったろうか。
今もこのような施設を運営しているとは…。
まぁ、日本の宿坊も何百年も続いている所もあるので不思議ではないが、
異次元スリップしたような感じがする。

さぁ、今日も行く

今朝も寒い朝だ。気温は4℃くらい。
日中も20℃に到達しない。
風が吹くと体感温度はもっと低い。

左足親指は爪の中で内出血しているし、右足甲の部分は骨と靴がすれて痛い。
膝は今ひとつの調子で、腰は少し痛い。
疲労は蓄積して、少しくらい寝たぐらいではとれない。
と、まぁ、泣き言を言いだしたらキリがない。
巡礼をしなかったら、何もないかというと、そうではなく何か痛みをかかえている。
さぁ、うだうだ言っていないで出発しよう。
今は6時。パッキングして6時半に出発。夜明けは7時半だ。

何かを背負って歩いている

雨の日の移動はつらい。
見渡す限り何もないので、雨を避けて休憩できるような場所がない。
背負っているリュックが重い。
まぁ、しかしこんなことは人生においてもあるものだ。
みんな何かを背負って歩いている。
時と場合によっては背負っているものを降ろすことができずに踏ん張るしかない。
ある時は、背負っているものを降ろして、ゆっくり。

下から大きな悲鳴が聞こえた。赤いリュックの子らしい。
転けたのか、怪我でもしたのか・・・。
しかし、その後何ごともなかったように歩き出す。
はて・・・?
そこへ行ってみて分かった。
雨に濡れた道は、まるで粘土のようになっていて、歩くたびに靴にまとわりつく。
すぐに靴が重くなり、おまけに滑りやすくなる。
悲鳴の正体はこれだと分かったが、どうにもできない。
ゆっくりゆっくりスリップしないように歩く。

ボカディージョ防衛

とある喫茶店(カフェテリア)。

コーヒーとサンドイッチ(ボカディージョ)を注文し朝食。
しかし、ここ動物が放し飼いで、サンドイッチを狙って寄ってくる。

ヒルは分かるにしても、しかし、ロバまで寄ってくるとは…。
お客様はサンドイッチ(ボカディージョ)防衛に一苦労。
ま、馬でも放し飼いの土地柄、こんな事があってもおかしくはない。

Wifi環境

巡礼路沿いの小さな村だと、Wifiが宿になかったりする。
それでCastrojerizカストロヘリスという村で、大枚払ってホテルに泊まっている。
が、Wifiはあるもののロビー回りだけ。
部屋からは利用出来ない。
う〜む。
この日は、Alto de Meseta の標高950mを越えて、
Hornillos del Camino (オルニジョス)という人口100人程度の小さな村に向かう。
道は820mまで下りだ。